更新:2026.11.3 作成:2026.11.3

関東の廃線跡ウォーク5選|トンネルと橋をたどる散歩道

関東で廃線跡が遊歩道として整備されている5か所を、距離・起点・トンネルや鉄橋の見どころとあわせて紹介。立入禁止の区間に入らない、暗いトンネルに明かりを持つなど、歩く前の決まりもまとめます。
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線路がなくなったあとの道を歩いてみると、ふつうの散歩道とは違う気持ちよさがあります。列車のために造られた道なので坂がゆるく、カーブは大きく、ふと気づくとトンネルや鉄橋に出会う。関東には、そうした廃線跡を遊歩道や自転車道として整備した場所がいくつもあり、駅から気軽に歩ける短い散歩から、半日がかりのウォーキングまで選べますよ!

この記事では、関東で廃線跡が遊歩道として整備されている5か所を、距離・起点・見どころのトンネルや橋とあわせて紹介します。そのうえで、立入禁止の区間に入らないこと、暗いトンネルに備えて明かりを持つことなど、歩く前に知っておきたい決まりもまとめました。

廃線跡ウォークの魅力は「なだらかさ」と「鉄道の遺構」

線路跡を整備した秋の遊歩道

廃線跡を歩く楽しさは、公園の散歩道とも登山道とも少し違います。理由は大きく2つあります。

鉄道のために造られた道は、なだらかで歩きやすい

列車は急な坂やきついカーブが苦手です。そのため線路は、谷に橋を架け、山をトンネルで抜けて、できるだけ平らに近い形で敷かれてきました。その跡を歩くと、山あいでも傾きがゆるく、ペースを一定に保ちやすいのが分かります。登山ほどの体力がなくても、景色の移り変わりをたっぷり味わえるのが大きな魅力です。

ただし「廃線跡ならどこも平ら」と決めつけるのは禁物。峠を越えていた路線の跡では、上りが長く続く区間もあります。距離だけでなく、高低差も地図で見ておきましょう。

トンネルや鉄橋が、そのまま残っている

もうひとつの魅力は、鉄道が走っていたころの構造物に触れられることです。レンガ積みのトンネル、明治時代の鉄橋、駅のホームの跡や地面に残るレール。中には国の重要文化財になっているものもあり、歩きながら日本の鉄道の歴史をたどれます。屋外の博物館をめぐるつもりで、のんびり歩いてみてください。

関東の廃線跡ウォーク5選

レンガ造りの古いトンネルの入口

5か所の距離・起点・見どころを表にまとめました。トンネルの通行時間が決まっている場所もあります。

場所距離の目安起点見どころ時間などの注意
アプトの道(群馬県安中市)片道約6.3kmJR横川駅10の隧道、めがね橋トンネルの照明は7時〜18時
あかね通り(埼玉県深谷市)約4.3kmJR深谷駅備前渠鉄橋、福川の鉄橋工場跡の建物は見学休止中
野山北公園自転車道(東京都武蔵村山市)約4kmトンネルは東側の狭山丘陵に4本のトンネルトンネルは10〜3月が7時〜17時
東横フラワー緑道(神奈川県横浜市)約1.4km東急東白楽駅高島山トンネルトンネルは6時〜21時30分
汽車道(神奈川県横浜市)約500mJR桜木町駅港一号〜三号橋梁2026年11月中旬〜12月下旬は改修工事の予定

※自治体や観光協会などの公式の案内をもとにまとめました(2026年11月時点)。通行時間や公開の状況は変わることがあるので、出かける前に最新の情報を確かめてください。

アプトの道(群馬県安中市)|10の隧道とめがね橋をたどる

信越本線が碓氷峠を越えていた区間のうち、アプト式(歯形のレールに車両の歯車をかみ合わせて急な坂を登る方式)の時代の線路跡を使った遊歩道です。JR横川駅から歩いて約3分の起点から、旧熊ノ平駅まで片道約6.3km。安中市によると、道中には6つの橋梁と10の隧道があり、国の重要文化財の旧丸山変電所も見られます。

ハイライトは、めがね橋の名で知られる碓氷第三橋梁。4つのアーチが連なるレンガ造りの橋で、長さ91m、高さ31mあり、橋の上も歩けます。安中市の案内では、行きの所要時間が約125分なのに対し、帰りは約96分。行きは上りが続くので、時間と体力に余裕をもって計画しましょう。めがね橋や熊ノ平には駐車場もあるので、一部の区間だけ歩くのも手です。

あかね通り(埼玉県深谷市)|レンガを運んだ専用線の跡

深谷駅から、旧日本煉瓦製造の工場跡まで続く遊歩道です。日本煉瓦製造は明治21年に操業を始めたレンガ工場で、ここで焼かれたレンガは東京駅丸ノ内本屋などに使われました。工場と深谷駅の間には、レンガを運ぶ専用の線路が約4.2km敷かれ、その跡が「あかね通り」として整備されています。埼玉県のウォーキングコースでは、深谷駅からの距離は約4.3kmです。

見どころは明治時代の鉄橋です。福川に架かっていた鉄橋は、現存する日本最古のポーナル型プレートガーダー橋(鉄の板を組んだ桁の橋)とされ、今は移設して保存されています。工場近くの備前渠鉄橋は国の重要文化財で、見学できます。一方、工場跡のホフマン輪窯6号窯は公開に向けた整備工事のため、旧事務所・旧変電室は保存修理のため、見学を休止中です(ホフマン輪窯は令和9年度中の公開予定)。建物の公開の再開は、深谷市の案内で確かめてください。

野山北公園自転車道(東京都武蔵村山市)|4本のトンネルが続く軽便鉄道の跡

昭和4年に、山口貯水池(狭山湖)を造るための砂利や資材を運んだ軽便鉄道(小型の鉄道)の跡です。今は約4kmの自転車道になっていて、歩行者も通れます。沿道には約300本の桜が植えられ、春は桜並木の道に。武蔵村山市には鉄道の駅がないので、周辺の駅からバスや自転車を組み合わせて向かいましょう。

見どころは、狭山丘陵の区間に続く、通り抜けられる4本のトンネル。横田トンネルをはじめ、どれも軽便鉄道らしい幅の狭い造りで、中は薄暗めです。トンネルの入口にはシャッターがあり、通れるのは4〜9月が7時〜18時、10〜3月は7時〜17時。冬場は思いのほか早く閉まるので、午後の遅い時間に着く計画は避けたほうがいいですよ。

東横フラワー緑道(神奈川県横浜市)|大正生まれの高島山トンネル

東急東横線の東白楽〜横浜間が地下に移ったあと、地上に残った線路の跡を整備した緑道です。長さは約1.4km。東白楽駅から横浜駅に向かってゆるやかな弧を描くように続き、途中には旧駅の跡や、地上を走っていたころのレールも残っています。

主役は高島山トンネルです。1926年(大正15年)に東横線の鉄道トンネルとして造られ、2011年4月16日に緑道の一部として通れるようになりました。長さは約170m。電車が走っていたトンネルを自分の足で抜けるのは、なかなかできない体験です。トンネルを通れるのは6時から21時30分まで。地元の人が通勤や散歩に使う道でもあるので、静かに歩きましょう。

汽車道(神奈川県横浜市)|明治の鉄橋3つを渡る水辺の道

桜木町駅から歩いて約3分。みなとみらいと新港地区を結ぶ、約500mの遊歩道です。1911年(明治44年)に開通した臨港線(港へ貨物を運ぶ線路)の跡を使っていて、足元には線路も残されています。距離は短いものの、水面の上をまっすぐ伸びる道は開放感たっぷりです。なお、2026年11月中旬〜12月下旬はボードウォークの改修工事が予定されているので、事前に確かめてください。

渡る橋は、港一号・港二号・港三号の3つ。港一号と港二号は明治40年に造られ、明治42年に架けられた鉄の橋で、三角形に組んだ骨組み(トラス)が目を引きます。港三号橋梁は、大岡川に架かっていた橋を移したもの。3つとも横浜市の認定歴史的建造物です。横浜駅から桜木町駅まではJRでひと駅なので、東横フラワー緑道と組み合わせて歩くのもおすすめですよ!

廃線跡を歩く前に知っておきたい3つの決まり

ヘッドライトとクマ鈴などの持ち物

整備された遊歩道でも、廃線跡はふつうの公園とは条件が違うところがあります。安全に楽しむために、次の3つは必ず守ってください。

立入禁止の区間や、柵の先には入らない

廃線跡は、遊歩道として整備された区間の先にも、線路の跡が続いていることがよくあります。けれども整備されていない区間は、落石や足元の崩れがあっても手当てされておらず、管理者がいる土地でもあります。柵や「立入禁止」「通行止め」の表示があったら、その先には入らない。これが廃線跡を歩く人の最低限のマナーです。

どうしても先を見たいなら、公式の催しを使うのが正解です。碓氷峠では、安中市観光機構が、普段は立ち入れない信越本線の廃線跡を歩く有料の「廃線ウォーク」を行っています。

暗いトンネルに備えて、明かりを持っていく

トンネルの中は、昼間でも思った以上に暗いものです。照明があっても控えめな場所が多く、足元の段差や水たまりに気づきにくい。アプトの道のトンネルの照明は7時から18時までで、それ以降は消えます。ヘッドライトか小型のライトを1つ持っていきましょう。両手が空くヘッドライトが便利です。

あわせて気をつけたいのが時間です。野山北公園自転車道のようにシャッターで閉まるトンネルや、東横フラワー緑道のように夜は通れないトンネルもあります。日の短い秋冬は、日没より前に歩き終えるつもりで出発してください。

山あいのコースは、クマへの備えも

アプトの道のように山の中を通るコースでは、野生動物への備えも欠かせません。群馬県はクマへの警戒を呼びかけていて、山へ入るときはクマ鈴やラジオなど音の出るものを持つよう案内しています。出かける前に、県や市町村が出しているクマの出没情報を確かめてください。

まとめ|廃線跡は、鉄道の歴史を足で味わう散歩道

水辺の古い鉄橋を渡る遊歩道

廃線跡ウォークの魅力は、なだらかな道を歩きながら、トンネルや鉄橋といった鉄道の歴史に直接触れられることです。約500mの汽車道から片道約6.3kmのアプトの道まで、距離も雰囲気もさまざま。初めてなら、駅から近くて短い横浜の2か所で雰囲気をつかみ、次に半日がかりのコースへ進む順番がおすすめです。

どのコースでも、守ることは同じです。立入禁止の先には入らない、明かりを持つ、トンネルの通行時間と日没に間に合うように歩く。出かける前に公式の最新情報を確かめて、秋の散歩を楽しんでください。

よくある質問(FAQ)

緑道に残された古いレール

廃線跡なら、どこでも歩いてよいのですか?

いいえ。歩いてよいのは、遊歩道や自転車道として整備され、通れると案内されている区間だけです。整備されていない線路跡は、管理者がいる土地だったり、落石や崩れの危険があったりします。柵や「立入禁止」「通行止め」の表示がある場所には入らないでください。

子どもと一緒に歩くなら、どこが向いていますか?

距離の短い汽車道(約500m)や東横フラワー緑道(約1.4km)が歩きやすいと思います。どちらも駅から近く、途中で切り上げやすいのが利点です。アプトの道を子どもと歩くなら、めがね橋の駐車場を起点に、橋とその前後のトンネルあたりを往復する形にすると無理がありません。

雨の日でも歩けますか?

舗装された街なかの緑道なら歩けますが、山あいのコースはおすすめしません。トンネルの中は雨をしのげても、落ち葉やぬれた路面で足を滑らせやすくなります。大雨のあとは通行止めが出ることもあるので、公式の情報を確かめ、天気のよい日に出かけてください。

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