更新:2026.11.4 作成:2026.11.4

防水と撥水の違い|レインウェアとテントで知っておきたいこと

防水と撥水の違いを初心者目線で解説。耐水圧と透湿の意味、撥水が落ちると雨漏りしたように感じる理由、洗う・熱を加える・撥水剤で補う手入れの順番まで、レインウェアとテントに共通する考え方をまとめます。
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撥水しなくなったレインウェアは、もう雨を防げない。そう思っていませんか。私も最初は、袖に雨がしみこんで色が濃くなっているのを見て、買い替えどきだと考えていました。実は、水を弾く「撥水」と、水を通さない「防水」は、生地の別の場所で働く別の性能です。撥水が落ちても、防水まで駄目になったとは限りません。

この記事では、防水・撥水・透湿(とうしつ)の違いと、撥水が落ちたときに手入れでどこまで戻せるのかを、メーカーの案内や公的な資料をもとに、レインウェアとテントに共通する考え方としてまとめます。

防水と撥水は、働く場所がちがう

生地の上で玉になる雨粒

雨具やテントの説明には、「防水」「撥水」「透湿」という言葉がよく並びます。私は似たような意味だと思っていましたが、それぞれ生地のどこで何をしているかが違います。

防水は、生地の裏まで水を通さないこと

モンベルは防水性を、生地の表面で水を弾くはっ水性とは異なり、外からの水を生地の裏側に通さない性能だと説明しています。表面で水が玉になるかではなく、裏側まで水がしみ出してこないか。ここが防水のポイントです。レインウェアでは、生地に貼り合わせた薄い膜(メンブレン)などが、この役目を担っています。

防水の強さは「耐水圧」という数値で表します。大阪産業技術研究所の資料によると、耐水度の試験は、生地の片面に水圧をかけていき、反対側の面から水が漏れ出たときの水圧を測るものです。

撥水は、表面で水を玉にして転がすこと

撥水は、生地の表面で水を弾く働きです。モンベルは、この作用は主に生地の表面に加工をして付けるものだと説明しています。日本ゴアの資料でも、外側の生地に施された耐久撥水(DWR)加工によって、水が球状になって転がり落ちるとされています。袖の上で雨粒がころころ転がっていく、あの状態ですね。

つまり撥水は生地のいちばん外側の「表面」の性能で、防水はその奥で水を止める「層」の性能です。私はこの2つをひとまとめに考えていたので、表面が濡れた時点で「もう防水じゃない」と早合点していました。

耐水圧・撥水・透湿。3つの性能の見分け方

雨粒を弾くテントのフライシート

防水と撥水に「透湿」を加えた3つを、何をする性能か、どう表すか、落ちたときにどうなるかで表にまとめました。

性能何をするか表し方落ちたとき
防水外からの水を生地の裏側に通さない耐水圧(裏から水が出たときの水圧)テントの防水コーティングは、劣化すると修復できない
撥水表面で水を玉にして弾くはっ水度(濡れ方を1〜5級で判定する試験がある)洗う・熱を加える・撥水剤で回復をめざせる
透湿中の蒸れ(水蒸気)を外へ逃がす透湿性(1m²の生地が24時間で外へ出す水分の量)表地に水がしみると、蒸れを感じやすい

※各メーカーの案内と公設試験機関の資料をもとにまとめました(2026年11月時点)。

耐水圧は、どれだけの水圧に耐えるかの数字

耐水圧の数値には、よく「mm」が付いています。大阪産業技術研究所の資料では、耐水度はkPa(キロパスカル)か、水の柱の高さで表す単位で示すとされています。水の柱が高いほど底にかかる圧力は大きいので、数値が大きいほど強い水圧に耐える生地だと読めばよさそうです。

目安の1つとして、モンベルはレインウェアに求められる耐水圧20,000mm以上を満たした素材だけを使っていると案内しています。ただ、耐水圧は生地そのものの数値です。テントは縫い目やファスナーから水が入ることもあるので、数値が大きければ絶対に雨漏りしない、とは言えません。

透湿は、中の蒸れを外へ逃がす力

透湿は「湿気を透す」と書くとおり、ウェアの中の蒸れ(水蒸気)を外へ逃がす性質です。モンベルは、1m²の生地が24時間で外へ出した水分の量(g/m²・24hrs)で表すとしています。

なぜ必要なのか、初心者のころの私は分かっていませんでした。モンベルは、雨や蒸れによる結露でウェアの内側が濡れると、不快なだけでなく体温低下を招き、体力の消耗にもつながると説明しています。雨を通さなくても、汗の蒸れがこもれば内側から濡れてしまうわけです。

テントは「外側が撥水、内側が防水」

テントの生地も、考え方は同じです。ogawa(キャンパルジャパン)の取扱説明書には、通常、フライシート(テントの外側にかぶせる幕)の外側の面には撥水加工、内側の面には防水加工が施されていると書かれています。外の面で弾いて、内の面で止める二段構えです。

同じ説明書は、この違いを理解しないまま手入れをすると、かえって性能を落とすことがあると注意しています。撥水剤はテントの外側の面に、防水剤は内側の面に塗るものです。

撥水が落ちると何が起きる?手入れで戻せること・戻せないこと

たらいの水で洗うレインウェア

撥水は、使ううちに少しずつ弱まる性能です。落ちると何が起きるのかと、手入れでどこまで戻せるのかを分けて見ていきます。

撥水が落ちると、雨漏りしたように感じる

日本ゴアの資料では、着用による摩擦や、日焼け止め、汚れ、洗剤、虫よけ剤などが付くことで、撥水加工の寿命が短くなることがあるとしています。そうなると表地に水がしみて、水漏れしているかのように湿りや蒸れを感じるそうです。

大事なのは「かのように」という部分です。奥の防水の層が無事でも、表地に水がしみこむと内側が湿っぽく感じられます。私が「もう防水じゃない」と思いこんだのは、まさにこの状態でした。買い替えを決める前に、まず手入れを試してみても遅くありません。

まずは洗う。汚れを落とすだけで戻ることも

撥水が弱まったと感じたら、最初にやるのは洗うことです。ogawaの取扱説明書は、撥水加工の劣化ではなく表面の汚れで効果が落ちている場合もあり、そのときは洗うだけで回復するとしています。

レインウェアは、まず洗濯表示を確かめます。日本ゴアの案内では、衣料用の液体洗剤を少なめに使い、粉末洗剤や漂白剤、柔軟剤は使わないこと、すすぎは通常の2倍を目安にしっかり行うことが挙げられています。

テントは洗濯機に入れません。ogawaは、水で洗い流すかブラシで払い、ひどい汚れは薄めた中性洗剤をスポンジで軽くこすってから水で流すよう案内しています。強い洗剤や強くこするのは、撥水加工を極端に落とすので避けてください。

熱を加え、それでも戻らなければ撥水剤

洗ったあとに効くのが熱です。日本ゴアの案内では、乾燥機にかける方法や、当て布をして低温・スチームなしでアイロンをかける方法が挙げられています。ogawaも、当て布をしてアイロンをかけると撥水が戻る場合があるとしていて、取扱説明書では外側になる面から低温で、集中して当てないよう注意しています。乾燥機やアイロンが使えるかは、洗濯表示や取扱説明書で確かめてからにしましょう。

それでも戻らなければ撥水剤の出番です。モンベルは、つけ込み用のはっ水剤は洗濯後に使い、乾燥機やドライヤーで熱を加えて仕上げるよう案内しています。同社のはっ水スプレー(エアゾール)は、洗って乾かしてから吹き付け、加工後は20分以上乾かす手順です。

スプレーは必ず屋外で使います。日本中毒情報センターは、屋外でも風向きが変わって吸い込んだ事故があるとして、マスクを着け、風通しの良い屋外で、周りに人、特に子どもがいないことを確かめてから使うよう呼びかけています。

防水の劣化と、縫い目からの浸水は別の話

一方で、手入れでは戻せないものもあります。ogawaによると、テントの防水コーティングに使われるポリウレタンは、空気中の湿気などで「加水分解」という変質を起こし、ベタベタしたりはがれたりします。そして、一度劣化した防水コーティングは修復できないそうです。進み方は保管でも変わるので、完全に乾かしてから、日光の当たらない風通しの良い場所にしまうよう案内されています。

また、テントは完全防水ではないとも書かれています。縫い目をふさぐ加工がされていない部分や、ファスナーなどからは雨水が入ることがあり、そこには液体かジェル状の防水剤(目止め剤)をすすめています。撥水剤とは役目が違うので、混同しないようにしたいところです。

外で弾き、中で止め、蒸れは逃がす

雨上がりのキャンプ場のテント

防水は生地の裏まで水を通さない性能、撥水は表面で水を玉にして弾く性能、透湿は中の蒸れを外へ逃がす性能です。レインウェアでもテントでも、外で弾き、中で止め、蒸れは逃がすという役割分担は変わりません。撥水が落ちると雨漏りしたように感じるのは、いちばん外側が弱っているから。そう分かってから、私は濡れた袖を見ても慌てなくなりました。

撥水は、洗って、熱を加え、それでも戻らなければ撥水剤で補える性能です。反対に、テントの防水コーティングの劣化は手入れでは戻せないので、使ったあとはよく乾かしてからしまうことが何よりの備えになります。手入れの前には、洗濯表示や取扱説明書を確かめてみてください。

よくある質問(FAQ)

洗ったあとに干すレインウェア

防水スプレーをかければ、防水になりますか?

名前は「防水」でも、補えるのは表面の撥水です。日本中毒情報センターも、防水スプレーを、表面に手軽にはっ水加工ができる製品だと説明しています。生地の裏まで水を通さない防水の層や、テントの防水コーティングが傷んでいる場合は、スプレーでは戻りません。使うときは、洗って乾かしてから屋外で吹き付けましょう。

レインウェアは、洗うと傷みませんか?

汚れを残しておくほうが、撥水には良くありません。日本ゴアは、汚れや日焼け止めなどが撥水加工の寿命を縮めることがあるとし、定期的なお手入れをすすめています。同社の案内では液体洗剤を少なめに使い、柔軟剤や漂白剤は使いません。洗い方は製品ごとに違うので、まず洗濯表示を確かめてください。

テントの寝室の内側にも、防水剤を塗ったほうがいいですか?

いいえ、寝室の壁や天井には塗らないでください。ogawaの取扱説明書は、寝室の壁や天井の生地に防水剤を塗ると通気性が失われ、一酸化炭素中毒などの事故の原因になると注意しています。製品によって指示が違うこともあるので、使うテントの取扱説明書を優先してください。

撥水剤は、スプレーとつけ込み、どちらを選べばいいですか?

手軽さならスプレー、ムラの少なさならつけ込み、と考えると分かりやすいと思います。モンベルの例では、スプレーはレインウェアからテントまで使えて手軽に撥水効果が得られ、つけ込み用は製品全体にムラなく加工できるとしています。つけ込み用は熱を加えて仕上げるので、乾燥機やドライヤーが使える製品か確かめておきましょう。

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    テントに泊まるのが好きで20年来の趣味です。ここ数年のギアの進化についていけていません。登山と自転...

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