更新:2025.7.4 作成:2025.7.4
2024年のアウトドアシーンを振り返ると、コロナ禍を経て「本当に必要なギアを選ぶ」という意識が定着した一年でした。軽量性、多機能性、環境配慮といった要素が重視され、アウトドアを楽しむ人々の価値観が着実に変化しています。
2025年は、そうした変化をさらに加速させる新しいトレンドが次々に登場しています。特に注目すべきは、ウルトラライト(UL)キャンプスタイルの進化、キャンプギアの多機能化、そしてアメリカ発の革新的ブランドやギアの台頭です。
この記事では、2025年に押さえておきたい3つのアウトドアトレンドを中心に、最新のギア事情や海外からの影響、日本市場の動向までを幅広く紹介します。
2025年のアウトドア市場は、世界的に見ても好調な成長を続けており、グローバル規模では277.9億ドル規模に達するとも予測されています。この背景には、アウトドアの裾野が広がったことに加えて、ギアの技術革新やライフスタイルの変化が大きく影響しています。
特に目立つのは、軽量素材の進化やモジュール式デザインなど、ギアそのものの進化です。かつては上級者向けとされたウルトラライト製品が、いまや一般ユーザーにも手が届く存在となりつつあります。また、多機能ギアやコンパクト収納できる製品の人気も高まり、「荷物を減らしつつ快適さを保つ」志向が強まっています。
さらに、気候変動への関心の高まりとともに、環境配慮型のギアも注目を集めています。リサイクル素材やカーボンニュートラルを意識した製品は、今後のスタンダードになる可能性を秘めています。
ここ数年、ウルトラライト(UL)スタイルは登山愛好家やロングトレイルの実践者を中心に広まりを見せていましたが、2025年はさらに裾野を広げ、一般的なキャンプシーンにも本格的に浸透し始めています。きっかけのひとつは、徒歩キャンプやバイクパッキングの普及。限られたスペースと荷重制限の中で快適性を追求する中で、軽量ギアの存在が不可欠になったのです。
技術的な革新も大きな後押しになっています。例えば70Dダイヤモンドリップストップナイロンやエアライトファブリックなど、新世代の素材が耐久性と軽さを両立し、ULギアの信頼性を高めています。2025年現在、ULテントやスリーピングマット、シューズなどのカテゴリで、1kg以下の製品がスタンダード化しているのも象徴的です。
2025年に注目すべきUL系ギアの中でも、Zpacksの「ウルトラライトキャンプシューズ」はその代表格です。片足わずか52gという軽さながら、折りたたんで収納できる構造と、テント場や移動中にもしっかりとしたグリップを発揮するソールが魅力。価格は$100前後とやや高価ながら、ULスタイルの完成度を高める一足として評価されています。
また、WAQの「Ultra Light AirMat」は、手動ポンプ式で電力不要という点がUL派に好まれており、高R値による断熱性の高さも特筆すべきポイント。軽量でコンパクト、かつ冬場にも対応可能なエアマットとして人気を集めています。
さらに、テント分野では「軽量テント革命」とも言える進化が進行中。1人用で1kg未満が当たり前になりつつあり、設営時間の短縮や耐風性能の強化も進んでいます。Zpacks、Six Moon Designs、NEMOなどのブランドが先導しており、日本国内でも輸入代理店を通じて購入できるようになってきました。
日本国内では、ULスタイルが登山からキャンプシーンへと応用され始めており、特に公共交通機関でアクセスできるキャンプ場の利用者を中心に注目が高まっています。徒歩キャンプや輪行スタイルとの相性も良く、地方から都市近郊まで広範囲でUL志向が浸透しつつあります。
一方で、価格帯の高さや情報の少なさが導入のハードルになっているのも事実です。特に初心者にとっては「軽い=頼りない」という印象を持たれがちですが、ショップスタッフやSNSでの使用レビューなど、情報発信が増えたことで徐々に誤解も解消されつつあります。
今後の課題としては、ULギアの国内生産やリペア体制の整備が挙げられます。長く使える信頼性とメンテナンス性を高めることで、日本独自のUL文化がさらに成熟していく可能性を秘めています。
アウトドアを効率的に楽しむという意識の高まりにより、1つで複数の機能をこなす「多機能ギア」への注目が集まっています。特に車でのキャンプやファミリーキャンプでは、積載量に制限があることから、限られたスペースの中で快適性や利便性を最大限に引き出す工夫が求められています。
そうしたニーズに応えるべく、2025年は「モジュール式」や「変形機構」を備えたオールインワン製品が続々と登場しています。ギアを複数組み合わせるのではなく、1つの道具に複数の機能を持たせることで、設営の手間や持ち運びの煩わしさを大幅に軽減できるのが最大のメリットです。
例えば、MSRの「Switch™ Stove System」は、加熱・煮込み・調理といった3つの機能を1台でカバーする革新的なストーブ。展開式のポットサポーターを搭載し、さまざまな鍋や調理器具に対応できる柔軟性が特長です。価格は$200前後とやや高価ですが、軽量性とパッキング効率を兼ね備えたハイエンドギアとして、上級者からの支持を集めています。
一方で、Soomloomの「オイルランプストーブ Flamenco」は、日本市場でも話題の製品。暖房・照明・簡易調理という3役をこなす優れものです。特にパラフィンオイルが手に入りやすく、独特の灯りが空間演出にもなることから、「実用性」と「雰囲気」を両立したギアとして評価されています。
また、収納一体型テーブルといった「家具+収納」の一体化も進んでいます。収納ボックスを兼ねたテーブルは、設営時間の短縮にもつながり、ソロキャンパーからファミリーまで幅広い層に人気です。軽量なアルミ素材や折りたたみ構造の工夫により、コンパクトさも犠牲にしていません。
多機能ギアは確かに便利ですが、すべての人にとって「万能」とは限りません。最大のメリットは、ギアの数を減らせることで荷物の量や準備時間を大幅に削減できる点。そして、結果としてコスト削減にもつながるという副次的な利点もあります。
ただし、注意すべきは「1つのギアが壊れると複数の機能が失われる」というリスクです。さらに、機能が多いぶん重くなったり、設計が複雑になることでメンテナンス性が下がる場合もあります。
選び方のポイントとしては、まず「自分のスタイルに本当に必要な機能かどうか」を見極めることが大切です。用途ごとに分けるべきか、まとめた方が効率的か。そこを冷静に判断したうえで、信頼性の高いメーカーの製品を選ぶのが失敗しないコツです。
2025年のアウトドアシーンでは、アメリカ発の新興ブランドや技術革新が次々と登場し、日本のアウトドア愛好家にも大きな影響を与えています。その中でも特に注目したいのが、Topo AthleticとCOASTという2つのブランドです。
Topo Athletic(トポ・アスレチック)は、トレイルランナーやハイカー向けの高機能シューズを展開しており、自然な足の形にフィットする「ナチュラルフィット」設計が特徴。特に前足部が広めで、つま先の自由な配置が可能な作りになっており、長時間の歩行でも疲れにくい構造です。日本市場への進出も視野に入れており、2025年後半には正規販売が開始されるとの噂もあります。
一方のCOAST(コースト)は、充電池分野において革新的なアプローチを見せています。特に注目を集めているのは、USBケーブルを直接挿せる「充電式乾電池」。電池そのものに充電ポートが搭載されており、外部バッテリーやUSBポートがあればどこでも充電できるという手軽さが人気です。アウトドアシーンにおける電源の選択肢が増え、より自由度の高いキャンプスタイルを可能にしています。
アメリカでは「実用性+見た目」のバランスを重視する傾向が顕著で、ギアのデザインにもライフスタイル志向が強く反映されています。その象徴的存在が、ストロー付きタンブラー。Stanley(スタンレー)やYETI、Hydro Flaskといったブランドが、SNS映えするカラー展開やカスタマイズ性で激しく競い合っています。
これらのタンブラーは単なるドリンク容器にとどまらず、アウトドアと日常生活の境界を曖昧にし、「普段使いできるアウトドアギア」という新しい価値観を生み出しています。日本でも若年層を中心に人気が高まりつつあり、今後はキャンプ場だけでなく街中でも見かけることが増えるでしょう。
さらに、ポータブル電源の進化も見逃せません。Goal Zeroの「Skylight」は、最大6,000ルーメンという圧倒的な明るさと30m超の照射範囲を実現。大型サイトやグループキャンプでの安全性向上に貢献しています。こうした高出力モデルが一般市場でも手に入りやすくなっており、アメリカの技術進化が日本のキャンプ事情にも影響を与えています。
アメリカ発の製品は、高機能で革新的な反面、価格がやや高めであることから、日本市場では「一部の熱心なユーザー向け」という位置づけになるケースもあります。特に円安の影響が続く中では、輸入価格の高騰がネックとなる場合も少なくありません。
その一方で、日本のアウトドアメーカーもこの動きを受けて新製品の開発を加速しています。モジュール型のストーブや軽量バックパック、USB充電対応のLEDランタンなど、海外製品にインスパイアされたアイテムが次々に登場しています。
また、消費者側の「情報感度」も高まっており、SNSやYouTubeを通じて海外ギアのレビューや使用感をチェックする層が増えています。こうした流れが、新しい製品への抵抗感を薄め、日本市場における受容スピードを押し上げているのです。
近年、アウトドア業界でも「環境にやさしい選択」を重視する動きが加速しています。2025年は、そうした潮流が製品開発の中心に据えられつつあり、リサイクル素材や長寿命設計を採用したギアが多数登場しています。
代表的なのが、リサイクルポリエステルやオーガニックコットンなどの再生・自然素材を使用したテントや寝袋。また、製品寿命を延ばす「リペアキット付属」や、パーツ交換が可能な設計が注目されており、「買い替えではなく、直して使う」という選択が支持を集めています。
さらに、製造時のカーボンオフセットやサプライチェーンの透明性など、企業の姿勢そのものに価値を見出すユーザーも増加中です。特に欧米ブランドを中心に、カーボンニュートラル達成を掲げるメーカーが増えており、日本市場にもその流れが波及しています。
今後は、軽さや機能だけでなく「環境への配慮」も、ギア選びの大切な基準のひとつになっていくでしょう。
2025年のアウトドアギア選びでは、「軽量化」「多機能化」「持続可能性」が三大キーワードです。最新のウルトラライトギアを取り入れれば、移動や設営がぐっとラクになり、より自由なスタイルでアウトドアを楽しめるようになります。
一方で、機能の多さやブランドの話題性だけに流されず、自分のキャンプスタイルや使い方に本当に合ったギアを選ぶことが大切です。また、長く使える品質や環境への配慮といった視点も、これからの時代には欠かせません。
海外のトレンドを参考にしつつ、自分らしいアウトドアライフをつくるためのギア選びを、ぜひ楽しんでください。
関連タグ:
この記事に関連するキーワード
その他のカテゴリ