
更新:2026.10.25 作成:2026.10.25
スキレットは、焦げついたら水に浸けておけばいい。そう思っていませんか。私も最初は、ふだんのフライパンと同じ感覚で扱っていました。ところが鋳鉄(ちゅうてつ=溶かした鉄を型に流しこんで作ったもの)のスキレットは、水に浸けたままにするだけで赤い錆が出ることがあります。
この記事では、鋳鉄スキレットのシーズニング(油ならし)の目的と使い始めの手順、使ったあとの洗い方、錆びたときの戻し方、しまい方まで、初心者がつまずきやすいところを順に見ていきます。
シーズニングと聞くと難しそうですが、やっていることは鉄の表面に油をなじませて膜をつくることです。
鋳鉄は、むき出しのままだと空気中の湿気でも錆びやすく、食材もくっつきやすい素材です。南部鉄器メーカーの及源鋳造は、油慣らしは食材の焦げつきやサビを抑えるために行うもので、空気中の湿気と鉄器のあいだに油の膜をつくると説明しています。
アメリカの鋳鉄メーカーのロッジによると、シーズニングとは油を高温で焼きつけたものです。熱で油が液体から硬くなめらかな膜に変わり、鉄にしっかり結びつきます。この膜のおかげで、焼いた食材がはがれやすくなるわけです。
私が意外だったのは、シーズニングは一度で終わりではない、ということでした。ロッジは、いちばん良いシーズニングは料理をすることだとしていて、油を使って調理するたびに膜が重なって強くなっていくそうです。最初の膜にむらがあっても大丈夫だと知って、ずいぶん気が楽になりました。
実は、買ったばかりのスキレットの状態は、製品によってばらばらです。ロッジの鋳鉄製品は工場でシーズニング済みで、箱から出してすぐ使えるとしています。反対に、さび止めのワックスや油を洗い落としてから、油を焼きつける必要がある製品もあります。
さらに、表面が塗装されていて、シーズニングのいらない製品もあります。キャプテンスタッグの鉄鋳物のココットは食器用洗剤で洗って植物油を塗るだけ、スノーピークの和鉄ダッチオーブンも中性洗剤で洗えばシーズニングなしで使えるそうです。まずは自分のスキレットの取扱説明書で、どの状態で届いたのかを確かめるところから始めましょう。
使い始めにシーズニングが必要な製品の手順を、キャプテンスタッグが自社サイトのダッチオーブンの手入れ記事で紹介している方法をもとに表にまとめました。同じ鋳鉄の鍋なので、考え方はスキレットでも同じです。細かな手順は製品ごとに違うので、取扱説明書がある場合はそちらを優先してください。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 洗う | 食器用洗剤で、さび止めのワックスや油を洗い落とす | 洗剤はしっかりすすぐ |
| 2. 乾かす | 水気をふき取り、しっかり乾かす | 水分が残ると錆の原因になる |
| 3. 油を塗る | 塩分を含まない植物油を、内側にも外側にも塗る | 余分な油はキッチンペーパーでふき取る |
| 4. 焼く | 煙が出るまで中火、そのあと弱火で煙が出なくなるまで | 3と4を4、5回くり返す |
| 5. くず野菜を炒める | ネギや生姜などのくず野菜を、鍋肌まで炒める | 鉄のにおいを消す |
| 6. 仕上げる | 野菜を捨てて油を薄く塗り、自然に冷ます | 水をかけて冷やさない |
※キャプテンスタッグ公式サイトの記事をもとにまとめました(2026年10月時点)。
最初にやるのは、さび止めを洗い落とすことです。キャプテンスタッグは、ワックスやシリコンオイルなどのにおいを落とすため、食器用洗剤でていねいにこすり、洗剤をしっかり流すよう案内しています。水気をふいて、よく乾いたら油を塗ります。
油は、塩分を含まない植物油を使います。キャプテンスタッグはオリーブオイルなどを挙げ、バターやマーガリンのように塩分を含むものは使わないよう注意しています。塗ったら、キッチンペーパーで薄くのばしながら余分な油をふき取るのがコツです。余分な油は焦げの原因になるそうで、たっぷり塗ったほうが効きそうだと思っていた私には意外でした。
油を塗ったら火にかけます。キャプテンスタッグの手順では、煙が出てくるまでは中火、そのあと弱火にして煙が出なくなるまで焼き続けます。この「油を塗る、ふき取る、焼く」を4、5回くり返して、膜を重ねていきます。
油を熱する作業なので、火にかけている間はその場を離れないでください。東京消防庁は、こんろによる住宅火災の多くは火をつけたまま離れることで起きているとして、離れるときは必ず火を消すよう呼びかけています。煙が出るので換気をし、本体も持ち手もとても熱くなるので、必ず鍋つかみを使いましょう。
焼き終わったら、くず野菜を炒めます。キャプテンスタッグは、ネギや生姜、ニンニクのような香りの強い野菜くずを鍋肌まで炒めて、鉄のにおいを消すとしています。野菜を捨てたら油を薄く塗り、そのまま自然に冷まして完成です。
やり方はメーカーによって少しずつ違い、及源鋳造の油慣らしは、大さじ1〜2杯の油で刻んだキャベツなどを少し焦げるくらいまで炒め、内側全体に油をなじませる方法です。どの方法でやるかは、手もとの製品の取扱説明書で確かめてください。
シーズニングをしても、使い方しだいで錆は出ます。初心者がやりがちな失敗から順に、錆びさせないためのポイントを見ていきます。
焦げついたから水に浸けておこう、というのがいちばんやりがちな失敗です。ロッジは、水に浸けておくのは錆のもとだとして、こびりつきはナイロンのブラシやスクレーパーで落とし、ぬるま湯で流すよう案内しています。食器洗い機も使えません。
料理を入れっぱなしにするのも錆の原因です。及源鋳造は、料理を入れたまま放置するとサビが発生しやすくなるとして、冷めきる前に別の容器へ移すよう案内しています。キャンプでスキレットのまま食卓に出したときも、食べ終わったら早めに空にしておきましょう。
調理のあと、熱いスキレットを早く冷まそうと水をかけるのも危ない失敗です。キャプテンスタッグは、高温の状態での水は厳禁で、温度差で割れることがあると注意しています。南部鉄器メーカーの岩鋳も、急に冷やすことは割れやヒビの原因になるとしています。
やけどの心配もあります。及源鋳造は、高温の鉄器に水をかけると蒸気が激しく上がり、やけどのおそれがあるとして、手で触れられる程度に冷めてから温水で洗うよう案内しています。
洗剤を使っていいかどうかは、メーカーによって案内が分かれます。ロッジは、いまの食器用洗剤はシーズニングを落とすほど強くないとして、洗剤を使っても問題ないとしています。一方、キャプテンスタッグやスノーピークは、使ったあとの手入れには洗剤を使わないよう案内しています。
どちらが正しいというより、製品の仕上げや考え方の違いだと思います。迷ったら、手もとの取扱説明書に従うのがいちばん確実です。洗ったあとは水気を残さないこと。キャプテンスタッグやスノーピークは、火にかけて水分を飛ばしてから、油を薄く塗るよう案内しています。
赤い錆が出ても、捨てる必要はありません。キャプテンスタッグは、お湯で温めてからクレンザーとたわしで錆をこすり落とし、火にかけて完全に乾かしたあと、油を塗って煙が出るまで焼く作業をシーズニングの要領で数回くり返す方法を紹介しています。
錆を落とす道具は、メーカーで案内が違います。ロッジは、ふだんの手入れには勧めないものの、錆落としにはスチールウールや金属たわしを使ってよいとしています。及源鋳造は、表面に傷がつくおそれがあるのでスチールたわしや金だわしは控えるよう案内しています。ここも取扱説明書を確かめてください。
しばらく使わないときこそ、注意が必要です。及源鋳造は、洗って空焚きしたあと少量の油をなじませ、新聞紙などに包んで湿気の少ない風通しのよい場所に保管し、湿気を吸った新聞紙はときどき取りかえるよう案内しています。
キャプテンスタッグも、新聞紙やキッチンペーパーを入れて湿気対策をしたうえで、定期的に使うことも大切だとしています。キャンプのシーズンが終わってしまいこむ前に、一度しっかり乾かして油を塗っておきましょう。
シーズニングは、鉄の表面に油の膜をつくって、錆と焦げつきを防ぐ作業です。ただ、新品のときに何をすればいいかは製品によって違うので、最初に取扱説明書を開くことが、いちばんの近道になります。
使い始めてからは、水に浸けたままにしない、熱いうちに冷たい水をかけない、使ったら水気を飛ばして油を薄く塗る。初心者の私がまず押さえたのは、この3つでした。錆が出ても、あわてなくて大丈夫。料理をするたびに膜は育っていくので、気負わずにどんどん使ってみてください。
ロッジのように、工場でシーズニングを済ませて、すぐ使えるとしているメーカーもあります。ただ、使い始めの準備は製品によって違うので、まずは取扱説明書を確かめ、その指示どおりに準備してください。あとは油を使う料理をくり返すうちに、膜が少しずつ育っていきます。
塩分を含まない植物油を使います。キャプテンスタッグはオリーブオイルなどを挙げ、バターやマーガリンは使わないよう案内しています。ロッジは、シーズニングし直しには煙が出始める温度の高い油が向いているとして、植物油やキャノーラ油などを挙げています。
ロッジは、トマトソースやレモン汁のような酸の強い食材はシーズニングを傷めることがあるので、新しいスキレットにはあまり向かないとしています。膜がしっかり育ってからなら、45分より短い調理で取り入れてよい、という案内です。使い始めのうちは、焼く・炒めるといった油を使う料理を中心にすると安心です。
及源鋳造は、黒く小さなかけらは焦げつきの層などがはがれたもので、食べても体に害はないとしています。気になる部分をたわしやブラシでこすって洗い、乾かしてから油を塗っておきましょう。くり返すようなら、取扱説明書の手順でシーズニングし直すのがおすすめです。
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